マネジメントコーチング

マネジメントコーチング


「劣等感」をもっているからこそ日々の努力を続けられる

 マネジメントコーチングでは、クライアントの視点を変化させることで、物事の捉え方や感じ方を、価値ある方向へ導く支援を行います。なぜ、このようなことが重要であるのかは、オーストラリアの医師であり、心理学者のアルフレート・アドラー博士の言葉である「私たちが状況を意味づけることによって、私たち自分を決定している」と端的に表しています。

 物事は多角的に見ることが大切であること、私たちは頭で理解しながら、実際には無意識に反応している刺激を中心に、それにフィットする状況を探し、意味づけをしているものです。つまり、「良し悪し」や「好き嫌い」は自分の外で生じる状況に起因するよりも、自分の内に起因することが多いのです。

 また、その意味づけの仕方も根拠のあるものではなく、無意識のうちに自動的な反応によってされていることが多いのです。その結果、「あの人はこういう人だ!」「どうせやっても無理だ!」などと、短絡的に決めつけて、自分自身の行動を制限してしまうことになります。では、自分自身の行動を制限する原因はどこにあるのでしょうか。

 例えば、私たちが仕事で目標の達成を目指すには、様々な技術や、知識を兼ね備えていることが求められますが、全てを完璧に習得することは、限りなく不可能に近いといえます。しかし、そうは知りつつ、多くの人は困難にあたったとき、自分の能力が不足していることに焦点をあて、自分が他人よりも劣っていると感じて行動を止めてしまうのです。

 アドラー博士は、人々がこのように抱く、自分に何かが欠乏していると思う感情のことを「劣等感」と表しました。
 一般的に、この「劣等感」は人々の行動を制限する根幹と考えられがちですが、この概念の発見者アドラー博士は「劣等感をもっていること自体は何ら問題がない」と述べています。それどころか「劣等感は日常生活を行う中で、目的を達成していくための無くてはならない原動力である」と述べ「劣等感」を「自己成長への道標」と位置づけています。

 「今日より明日の自分、さらに、明日よりも未来の自分は素晴らしくありたい!」という自己成長の意欲は、劣等感がなければ現れないのです。自分には何かが欠乏しているという「劣等感」を持っているからこそ、私たちはそれを何とか穴埋めしようとして、日々の努力を続けられるのです。さらにいえば、あらゆる「劣等感」を私たちから取り除くことは、めざす目標を奪われることに等しく、それは人間としての存在意義を見失うことにもつながります。

 「劣等感」は、深く自分と向き合って生きる上で欠かせないものであり、生きる目標にも大きな影響を与えるものでもあります。マネジメントコーチングには、クライアント自身がどのような「劣等感」をもっているかを正しく理解するためにも、クライアントの視野の枠を広げる支援が求められます。

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